佐賀大学経済学部 中西 一 の HP / 予算制度・財政再建・財政政策を専門とする |
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2021年度現代経済政策研究(政策研究・政策提言)
2021年はコロナ禍の2年目となり、相変わらず頻繁に社会生活に制限を受ける日々が続いた。国際環境はさらに混乱を深め、現在ウクライナで戦争が起こっている真っ最中である。
与党の選挙前政治戦略により、短命に終わった菅政権から岸田政権に変わっている。7年以上続いた安倍政権の頃と比べると、権力の集中度が弱まり、より分散的な政治情勢となっている。なんらかの政策が強力に推進されていく状況では、次第になくなってきている。
このような政治政策環境を背景としながらも、政策課題自体は変わっていない。日本の長期経済低迷は現在も変わらず続いており、究極的には少子高齢化を背景とする労働力不足が足を引っ張っている。社会政策・労働政策はそのような労働力不足を助長するような体制であり続けてきた。その改革は安倍政権後期からようやく着手がされ始めているが、まだまだ萌芽期の政策の域を出ず、本格的な政策転換が待った無しとなっている。
経済政策は長らく規制緩和を主たる基調として展開されてきた。しかしその規制緩和の規模自体も散発的なものであり、また世界経済の体質変化により規制緩和が功を奏する時代ではなくなってきている。現在、日本経済は世界に売っていく「売り物」も次第次第に失っており、世界の中でますますマージナルな存在になりつつある。他方で諸外国は「新しい産業政策」に向かいつつあり、しばらく控えられていた介入主義的産業政策復活の基調にある。衰退する日本でこそ、新しい企業産業ないし技術を育てていく政策を本格的に展開していかなければ、世界との差はますます拡がっていくだろう。
以上のような基調の中、今年度卒業の世代は4つのグループに分かれて、今の日本経済の課題に取り組む現代経済政策研究を展開してくれている。これらの課題は、どれも日本の経済社会を抜本的に立て直していく上で不可欠のものであり、それぞれに対して重要な政策提言が行われている。今年度卒業世代の成果をここに称え、卒業研究の掲示という形で社会に公表することとする。
「現代経済政策」政策研究・政策提言
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